フィリピンで4月にある有名な祝日といえば、毎年4連休になる「ホーリーウィーク」と「イースター」です。
しかし、毎年日にちがズレるこれらの祝日とは違い、4月9日に毎年やってくる祝日があります。そう、「勇者の日」です。
フィリピン人妻に「勇者の日って何の日?」と聞いても、わからないとの回答。妻曰く
“正式名称である「Araw ng Kagitingan」の「Kagitingan」が、タガログ語で勇敢なという意味だよ。それ以外はわからない”
とのことでした。
ということで、私が代わりに調べ上げ、妻に教えることにしました。しかし、調べているうちに大変なことを知りました。実は勇者の日は、日本と非常に深いつながりがある祝日だったのです。ぜひみなさんにも知ってほしいので、最後まで読んでくださいね。
勇者の日とは
勇者の日とは、毎年4月9日に制定されているフィリピンの祝日です。2009年はホーリーウィークと被ったため、日にちをズラしたという過去がありますが、基本的には毎年4月9日にやってきます。
正式名称は「Araw ng Kagitingan」で、英語では「Day of Valor」です。
では、この日が一体何の日なのか、紹介していきますね。
勇者の日は、実は「第二次世界大戦」に大きく関係しており、日本とも大きなつながりがある日なのです。
第二次世界大戦中の1942年、日本軍がマニラ近郊にあるバターン半島に侵攻しました。
当時、フィリピンはアメリカの占領下に置かれており、「日本軍」VS「アメリカ&フィリピン軍」で争ったわけです。
結果、日本軍が勝利し、4月9日にバターン半島を占領しました。
その際、アメリカ人とフィリピン人を捕虜にしました。その総数は7万人を超えていたといわれています。
日本軍は捕虜を収容所まで移動させることにしましたが、残念ながらトラックが不足していました。そこでとった方法が「徒歩での移動」です。
120キロもの行程の内、約90キロを徒歩で移動させることにしたのです。
しかし、その移動中に蚊を媒介にして発症する感染症「マラリア」や食糧不足、4月の炎天下(フィリピンの真夏が4月です)に日本軍から受けたひどい仕打ち(むち打ちなど)によって、多くの捕虜が死亡しました。その数、フィリピン人が5,000~1万人、アメリカ人が600名程度だったと記録されています。フィリピンではこの事件を「バターン死の行進」と呼んでいます。
勇者の日は、この時の死者を追悼するために設けられました。1961年に祝日と制定された後、大統領令などにより多少日にちが変わったりもしましたが、2010年頃からは毎年4月9日を勇者の日とし、フィリピンの祝日の1つとなっています。
私も今回調べるまでよく知りませんでしたが、日本と非常に強いつながりがある祝日が「勇者の日」なのです。
勇者の日には何をするべき?どうやって過ごせばいいの?
私の妻が勇者の日の由来を知らなかったことからもわかるように、勇者の日がそもそも何なのかを知らないフィリピン人も多いのが実際です。
つまり、この日に合わせた大きなイベントはとくに開催されておらず、祝日にすべきことも決まっていません。皆が好きに祝日を過ごしています。
ただ、2017年の勇者の日は75年という節目であったことから、ドゥテルテ大統領も参加する大きな式典が開催されました。YouTubeでも紹介されていますので、興味のある方は見てみてください。
おそらく、舞台であったバターンや、戦争で亡くなった家族を持つ人たちによって、何らかの儀式等が行われていると予想されます。お墓参りなども実施されているかもしれません。しかし、今回はそこまで調べられませんでしたので、情報が入り次第追加いたします。
※追記
在フィリピン日本国大使館のホームページに、バターン州にて実施される勇者の日記念式典の様子が紹介されていました。毎年、バターン州に多くの方が集まり、追悼しているようです。在フィリピン日本大使が出席し、今後戦争を繰り返さないこと、歴史に謙虚に向き合うことなどをスピーチしているようです。
事実は変えられませんが、未来は変えられます。この悲しい事件を胸に、フィリピンと日本がより近い関係になり、お互いに助け合う道を探り続けることができればいいなと感じています。
このイベントの詳細については、在フィリピン日本大使館のホームページをご覧ください。
終わりに
毎年4月9日にある祝日「勇者の日」とは何かについて紹介しました。勇者の日とは、
第二次世界大戦中に日本軍が占領したバターン半島にて亡くなった戦士たちを追悼する日
であるといえます。
私は現在、フィリピンに住んでおり、まわりのフィリピン人からはとてもよくしてもらっています。しかし、このような悲しい事件があったことをしっかりと受け止めることも大切なのだと感じました。
今回の記事が、勇者の日について知りたいという方の役に立てば幸いです。
今後もさまざまなフィリピン情報を掲載していきますので、また遊びにきてくださいね♪
(もし何か知りたいことがあれば、個別にメールやメッセージをください)